第22章 涼太の傍へ
[美空]
はっ はっ はっ ……
息を切らしながら、私は会場の扉を開けた。
IH本選・全国総合体育館
ワァーーーーーー!!!!!
オォーーーーーー!!!!!
人々の歓声。
オレンジ色に光るコート。
白と黒のユニホームが、猛スピードで走っている。
そして、黒のユニフォームが、ダンクに持っていき、白のユニフォームが止めに入る。
両者がゴール前、空中戦。
0:02
『涼太っ!!!!』
私は、祈るように力一杯、両手を組んだ。
0:01
涼太が競り負ける。
そして、ボールがゴールに叩きつけられた。
0:00
ビィーーーーーーーーー!
「試合終了っ。」
ッワァーーーーーー!!!!!
歓声が上がる。
涼太は、ゴール前から動けないでいて、笠松くんが涼太を迎えにいった。
2人は支えあって整列に行く。
110対98
海常 敗退。
「涼太。」
フラフラに退場していく、涼太と笠松くん。
私は、その場から動けず、口許を両手で覆う。
目が潤む。
けど
泣いちゃダメ。
泣くわけにいかない。
私は、ぐっとお腹に力を入れて、体育館の出口に向かう。
きっと、何も出来ない。
何も言えない。
けど、傍に行こう。
涼太の傍に。