第21章 弱気な夜に
「…涼太。大丈夫。みんないる。涼太はコートで一人じゃない。」
《…美空っち。ありがと…。》
涼太の声から、力が抜けたのを感じて、少しほっとする。
「…一緒にいられなくて、ごめんなさい。」
ふと、言葉が口から出ていた。
《…え?ナニ言ってんスか?
美空っちが悪い訳じゃないし、俺は……。
俺は、そんな美空っちを好きになったんスよ。
…美空っち、沢山いい写真撮ってきてね。》
涼太からの告白に、胸が熱くなって、涙がこぼれる。
私は、涙を指で拭って、涼太へ伝える。
「…私は、バスケをプレーする涼太が好きよ。
勝ったときの笑顔が好き。
涼太、頑張って。」
《…美空っち、帰ってきたら、沢山抱き締めさせて。》
「うん。沢山抱き締めてね。」
《…美空っち。》
「うん?」
《大好きだよ。》
「私も。」
《おやすみ、……美空。》
そして電話が切れた。
嬉し涙がこぼれて、拭っていると、はたと思い出す。
『今、名前っ?!』
私は、しばらくその場から動けないでいた。