第18章 夏の予定とモヤモヤした気持ち
下着とスエットを穿き、暑いので上半身は裸でシャワー室から出てくると、美空っちは、机の前に座り、パソコンで作業をしていた。
「あ、涼太、おかえり。水でいい?」
美空っちは俺に気がついて、机の上に用意してくれた、ペットボトルの水を突っついた。
「うん、いいっス。」
俺は、ペットボトルを取って、机に軽く腰掛け、一口飲んだ。
「…編集っスか?」
マウスを世話しなく動かす美空っちを、見下ろしながら聞く。
「うん。昨日のデータ、今日中に、広瀬に渡してしまいたいから。」
そういって、美空っちは、自分用に飲んでいた水を手に持った。
「大変スね。俺、いつも撮られる側だから、こういう作業があるって、知らなかったっス。」
関心しながら、美空っちの後ろに回り込み、パソコン画面を見る。
「私の腕じゃ、まだ思うようにカラーバランスが摂れてなくて。」
そう言って、画面の笠松センパイの写真の、明るさ調節をしたり、要らない部分の削除をしたりしていた。
「朝御飯まで、もうちょっとだよね。あと少しで終わるから。」
そう言って、美空っちの作業ペースがどんどん上がっていった。
『…なんか、俺がいるのに、笠松センパイの修正とか…複雑っス…』
俺は、モヤモヤした気持ちになり、美空っちを後ろから抱き締めた。
「うわっ!な、なに?!涼太、どうしたの?!」
急に抱きついたから、美空っちが驚いて声を上げた。
「笠松センパイじゃなくて、俺の写真は、編集しないんスか!?」
むくれて、美空っちの首に甘噛みする。
「んっ!ちょ、ダメ!!涼太!!」
美空っちの声に気をよくして、そのまま首筋に舌を這わせると、
プルルルルル♪
俺の携帯が鳴った。
着信画面には、“笠松センパイ”と表示されていた。