第17章 甘やかな朝
「んんーーー!!」
目を見開き、抗議の呻き声を上げると、涼太は残念そうに唇を離した。
チュッ
涼太の唇から逃れて、私は携帯を取りに、ベッドを抜け出した。
机に置いてあった携帯は、着信ではなくて、いつも設定してる目覚ましアラームで。
私は、ホッと息を吐いてから、涼太を睨む。
「…美空っち。キスいや?」
涼太は拗ねた顔をして、上半身を起こし、前髪をぐしゃぐしゃにしていた。
私は、そんな涼太に拍子抜けして苦笑して、ベッドに腰かける。
「違うよ。もう支度しなくちゃ。」
子供に言い聞かせるように、涼太へ声を掛け、涼太の頭にキスをおとした。
すると、涼太が寝起きの時とは違い、優しく私を抱き寄せ、私の肩口に頭を乗せた。
「…今日からしばらく離れ離れなんだから…もっと、くっついていたいっス。」
私は、涼太の甘えた言葉を聞いて、嬉しくて笑ってしまう。
「私もだよ。もっとくっついていたいね、涼太。」
そう言って、涼太の頭に腕を回し、ゆっくり撫でて上げる。
すると、涼太はがばっと顔を上げ、真剣な表情で私の両肩を掴む。
「美空っち。浮気しちゃダメっスよ。」
真剣な顔で、何を言うのかと思ったら、思ってもみないことで。
「…何変なこといってるの?」
半ば、呆れてしまい、眉を下げてしまう。
「美空っち、約束っ!絶対、男子と2人きりになっちゃダメっ。分かったっスか?!」
なおも食い下がる涼太に、ため息をついて、頷いた。
「分かった。2人きりにはならない。約束ね。」
私は、涼太の大きな手を取って、細くて綺麗な小指に自分の指を絡める。
「…嘘つかないよ。指切った。」
そう呟いて、指を放す。
「シャワー浴びてくるね。」
私は、ベッドから立ち上がって、ユニットバスへ入った。