第2章 写真に写る違和感
【涼太】
さっき昼休みに現れた2人組の一人が、体育館の隅っこで、本格的な撮影機材を準備している。
オレはボールを回しながら、その馴れた手つきで準備している彼女の手を目で追ってしまう。
『えっと、あの人、名前なんだっけ…?』
心此処にあらずな感じで、考えていると、部活の時間になる。
部員全員がウォーミングアップを終えたのを見届けて、笠松センパイが部員を体育館の真ん中に集めた。
「おい!集合だっ!」
「「「 はいっ 」」」
「あー…、今日は、校内新聞の取材が入っている。おい、卯月。」
「あ、はい!」
『そうだ、卯月センパイだ。』
撮影機材の準備がすんだのか、小走りで笠松センパイの横に立った。
「初めましてしての人もいると思います。卯月美空、3年です。
今日は、校内新聞で掲載される予定の、宣材写真を撮らせてください。
皆さんの大事な練習時間を邪魔しないよう、十分気を付けますが、邪魔は邪魔だと思います。普段通りというのも難しいかもしれません。だから……」
そこで言葉を区切った彼女は、笑いながらこういった。
「沢山カッコつけてください。」
その言葉で男子部員一同、笑ってしまうのだった。
「なんだよ。カッコつけろって~。」
「俺らはいつもカッコいいっての!」
同級の3年が卯月センパイに笑いながらツッコんで笑っている。
「お前らぁぁぁ!!!」
そこに笠松センパイのカツが入った。
「あはは、まぁ、変な顔はしないでねってこと。」
笑いながら話している姿は、普通の女子。
オレは他人事のようにみんなの話しを聞きながら見ていると、卯月センパイがこちらを見た。