第14章 撮りたかったな…
[涼太]
美空っちと宿に帰って、食堂に行くと、入り口で笠松センパイに蹴っ飛ばされた。
「いったぁーーーー!!笠松センパイ!痛いっス!!」
「夕飯の時間、ちゃんと言っただろーが!ボケェッ!!」
笠松センパイのすごい剣幕に、あちゃーっとしていると、俺の前に、美空っちが立った。
「ごめん、笠松くん。原因、私だから。き……涼太のこと責めないで……あげて…。」
美空っちが、みんなの前で俺のこと、“涼太”って言った。
「え?!ナニッ?!お前、もしかして!!?」
食堂の声がザワッっとなって、静かになった。
そして、森山センパイが、茶碗と箸を持って、こっちにやって来た。
「いや…あ、あの……な、なんでもいいでしょっ!!」
食堂にいる全員の視線が刺さって、耳まで真っ赤にして、美空っちは怒鳴った。
「……ったく…。黄瀬、早く飯食え。卯月の分もあるぞ。早く食べろよな。」
腕組みをして怒っていた、笠松センパイは、呆れて解放してくれた。
二人で、ご飯をよそって席に着く。
「「いただきます。」」
美空っちと向かい合わせで、夕食を食べる。
昨日より、ずっと旨いと感じて、ご飯を3杯御代わりしたのだった。