第8章 祝勝会!!
[涼太]
笠松センパイからパスを受け、俺はボールをゴールに叩きつける。
試合終了のホイッスルが、体育館に響き渡った。
先週からIH予選が始まった。
俺は、春の練習試合に負けてから、モデルの仕事をセーブして、練習に明け暮れている。
リベンジを誓った黒子っち逹がいる誠凛とは、IH本選へ勝ち進まないと、勝負出来ない。
『今は、目の前の敵を倒すのみっス!』
俺たち海常は、目の前の敵を倒して押し進む。
試合を終え、帰り支度をしてロッカールームを出る。
いつものスタメンメンバーで体育館を出ると、美空っちが、機材を持って壁に凭れていた。
「おい、卯月じゃね?!まさか俺のことを待っていて!!!」
森山センパイが美空っちに近寄ると、美空っちもこっちに気がついて手を振った。
「取材しにきたのか?」
「そうだよ。試合、お疲れさまでした。凄かったよ。いい写真撮らせてもらいました!」
笠松センパイに聞かれた美空っちが、ぺこっと頭を下げ、笑った。
俺も話しかけようと口を開いたら、女の子逹に囲まれた。
「かっこ良かったです!」
「お疲れさまです!!」
「試合、すごく良かったです!」
俺は、センパイ逹に囲まれている美空っちが気になってしょうがない。
『あーー、俺もいれてぇーーー!』
すると、笠松センパイが俺に向かって手を振った。
「おいっ、黄瀬。俺たちそこらで飯食ってくわ。」
「えっ!ちょ!俺も行くっス!!」
囲んでいる女の子たちを掻き分けていこうとしても、阻まれる。
「お前待ってると、長くなりそうだから、先行くぞ。じゃーな。」
そういって、美空っちと一緒に行ってしまう。
「えーー!!そんなっ!センパイっ!美空っち!」
呼び掛けたが、何故か森山センパイがこっちを振り返り、アッカンベーをして行ってしまった。