第7章 練習試合の後
【美空】
「美空!これっ!!すごいね!!」
昼休み。
杏奈が、どこからか取ってきた校内新聞を、私の前で見せてくる。
「杏奈、それ取ってきちゃ駄目なやつでしょ?」
「校内に貼り出された新聞なんて、もう一枚もないわよ!!この号外、とんでもない競争率で奪ったんだから!」
「あーー…そう。」
私は、杏奈の興奮に着いていけず、どーでもいい返事になってしまう。
「あ、そうだ。これ。」
私は思い出して、杏奈に封筒を渡した。
「何、これ?」
杏奈はきょとんとした顔をしたので、私はイラッっとする。
「君が私に頼んだのでしょ?黄瀬くんの写真が欲しいって。」
ため息をついて、封筒を指でトントンする。
「え?え?えーーーーー!?!?!」
杏奈は顔を赤くして、封筒を両手で崇めるように高く上げる。
「美空っ!ありがとう!!!」
ふんふん~♪と、鼻唄を歌いながら、封筒の中にある写真をそっと見る。
黄瀬くんの、がむしゃらなプレーが光る写真たちは、この前の黄瀬くんより、ずっといい顔をしている。
「うわーーーうわーーー!!流石、美空っ!!すごいよ!!…かっこいい…。」
杏奈はしゃぶりつくように、黄瀬くんの写真を見ている。
「よく撮れてるっスね、美空っち。」