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~ファインダーの向こう側~【黒子のバスケ☆黄瀬】

第5章 無邪気な横暴


【美空】


「だーかーら!もうちょっと待ってって言ってるの!!」

「だーかーらー、何で待つんだよ!この黄瀬で十分だろ!迫力あっていい写真だって!!」


かれこれ、もう30分は同じ押し問答を新聞部でしていた。
この言いあっている新聞部部長:3年広瀬は、私を校内宣材写真のカメラマンにしたてあげた、一人だった。
言い合いの原因は、先日撮った黄瀬の写真。


「駄目!来週の練習試合まで待ってよ!練習試合で、もっといい写真が撮れるはずなの!お願い!!」

「新入生への部活紹介新聞なんだ!入稿遅れたら、旬すぎちまうだろ?!」

「でもこの写真は駄目。黄瀬くんは、こんなもんじゃないと思うから!お願いっ!」


手をパンっと顔前で叩き、頭を下げた。


「……ったく、仕方ないな…。バスケ部は人気もあるし、次号の特集として別組するよ。」


広瀬はようやく折れてくれて、頭を激しく掻き、私の頭にポンっと手を置いた。


「お前、黄瀬のこと好きなの?」


広瀬の言葉に、下げていた頭が上がる。


「…………は?なに、言ってんの?」


すると、広瀬はニヤニヤした顔をして、机に置いてあった紙を丸めマイクのように私の口許へ突きつけた。


「どーなんですか、卯月さん。お付き合いしたいんですかぁ?ライバル多いですけど、どー思いますかぁ?」


まるで芸能レポーターのように、棒読みの質問を受けて呆れる。


「ばか。私は、一カメラマンとして、この写真より、いい写真を撮ってあげたいって思ってるだけ。変な憶測はしないでよね。」


私は、広瀬が持っていた紙の筒を取り上げ、今度は私が、広瀬の頭をそれで軽く叩いた。


「ほーーーぉーー」


広瀬は、まだ、私をじとーーーっと見ていたが、私は別にやましいことはないので、うざったく感じる。


「じゃ、バスケ部の写真は、来週の練習試合のを使ってね。じゃ!」


そう言って、新聞部の部室を後にした。

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