第35章 ストバスコートで
[美空]
「美空!パスっスっ!!」
私は、持っていたボールをパスする。
「はいっ、涼太!」
「ナイスっ!」
私からのパスを受け取って、スピードそのままに、涼太はゴールにボールを叩きつけた。
「ナイスシュート、涼太っ!」
「っしゃ!!っと。どーっスか?俺!カッコいっ?」
ゴールリングから手を離して、涼太は興奮ぎみに着地した。
そして、乱れた髪の毛をかき揚げる。
「ふふ、カッコいい・カッコいい。」
私は、カッコつける涼太に相づちをして、笑った。
すると、涼太も笑顔を向けて近寄ってきた。
「前も思ってたっスけど、美空って、運動神経いいっスよね。春に見た体育の授業も、一人だけめっちゃボール飛ばしてたし。今も、タイミングよく、パス飛んできたし。」
私は、ゴール下にボールを拾いにいって、ゆっくりドリブルする。
「普通だよ。まぁ、性格上、手を抜くってことが出来なくて、体育は一生懸命やるけど…。」