第34章 お見舞いの花束を…
[美空]
コンコンッ
「はーい。どうぞ。」
「…胡桃ちゃん。」
「わぁーー、美空センパイ!」
胡桃ちゃんは、すごく嬉しそうに、笑顔を見せてくれた。
体育館で仲直りをした私と涼太は、その足で胡桃ちゃんの入院する病院に、お見舞いにきた。
「俺も来てるんスけど。」
「ふふ、黄瀬くんも来てくれて、ありがとうございます。」
私は、胡桃ちゃんが思いの外元気そうで、安心した。
だけど、頭に巻いた包帯が痛々しい。
「ほらっ、美空。
胡桃っちに渡すって、お花持ってきたじゃないっスか。」
「あっ、うん。これ。お見舞いなの。」
ピンクのマーガレットと、カーネーションが可愛いミニ花束を渡した。
「綺麗です。…ありがとうございます。」
胡桃ちゃんは嬉しそうに笑って、花束を受け取って、抱き締めてくれた。
私はそんな胡桃ちゃんに、感情が溢れて、頭を下げた。
「胡桃ちゃん、ごめんなさいっ!!!」
「美空センパイ?!」
「…最近、私に嫌がらせをしていた人逹に、色々言ってくれたって聞いたよ。
…本当にありがとう。」
胡桃ちゃんにお礼を言うと、涼太も頭を下げた。
「俺もごめんっ。俺の追っかけの仕業だったんス。
俺、…美空が大変な目に遭ってることも、全然知らなくて…。次は、俺が必ず美空を守ってみせるっスから。」
「お二人とも、ヤメてくださいっ!!」
胡桃ちゃんの困った声が、病室に響く。
涼太と顔をあげると、胡桃ちゃんが困った顔をしていた。