第33章 コートとファインダーの距離
[涼太]
家に帰って、シャワーを浴び、部屋でストレッチをしていると、携帯が震えた。
俺は立ち上がって、ベッドに放っておいた携帯を見て、すぐ通話を押す。
「美空。どうしたんスか?」
《あの……胡桃ちゃんの事で電話したの。助けてくれたの、涼太だって聞いたよ。その……ありがとう。私の後輩を助けてくれて。今週中には、登校出来るって。》
「そうっスか。」
《うん……。》
「……美空。明日、うちの体育館、来て欲しいんスけど。」
《え?》
「俺も、美空に言いたいこと、あるんス。」
《……》
「ずっと待ってる。じゃ。」
通話を一方的に切って、携帯をベッドに投げた。
自分でも驚くほど、冷静に会話出来たことに、少し笑う。
明日に備えて、俺はいつもより早く寝ることにした。