第25章 お泊まり決定
[美空]
「涼太、タオルと着替え、ここに置いておくね?」
私は、脱衣所の棚に、お父さんのスエットを置いておいた。
うちには、男性がお父さんしかいないから、仕方ない。
ガチャッ
急に浴室の扉が開いて、涼太が顔を出した。
「了解っス。…ねー、美空。一緒に入ろー?」
頭に泡をくっつけて、私にお願いしてくるが、私は赤い顔をしてそっぽを向く。
「ダメ。涼太の洗濯物、洗わなきゃでしょ?」
あっかんべーっと涼太にして、脱衣所から逃げ出した。
今日、涼太がうちにお泊まりする。
女友達とは訳が違う。
私は、落ち着かない気持ちで、食器を洗っていた。
後少しで、洗濯が終わる。
そしたら、自分のものも洗わなくちゃとか、色々考えていると、涼太が湯上がりで顔を出した。
「お先、いただいたっス。」
「あ、おかえりなさい。お茶出すね。」
髪の毛をタオルで拭きながらやってきた涼太に、冷たいお茶をグラスに注いだ。
テーブルに置くと、涼太は椅子に座って、お茶を一口飲んだ。
「美空も今日、疲れたでしょ?入っといでよ。」
ガシガシと両手で髪の毛を拭き、私を見上げてくる。
「うん…。じゃあ、もらおうかな。あ、涼太も疲れてるよね。今、和室に布団」
「俺、美空と一緒に寝るから、いらないっス。」
私の言葉を途中で消して、涼太は立ち上がった。
そして、私を抱き締める。
涼太の湯上がりで熱い体温と、自分の家のボディーソープの香りが私を包む。
「今日は、美空を、抱き締めて寝るっス。…約束したでしょ?沢山抱き締めるって。」
そういって、私のおでこにキスを落とした。
私は、赤い顔でおでこを触る。
「早く入っておいで。それで、イイコトしよ?」
そう言って、涼太は、私の唇に人差し指を当て、ウインクを投げた。
「…イッテキマス…。」
私は顔を赤くしたまま、何故か片言で、脱衣所に入った。