第3章 第一歩ー虹の実
『んー、ここか。』
がやがやと騒がしいここはワールドキッチン。
つかうるさいか、うん。
「今日は、グルメ中央おろし売市場に来ています。
総面積3000㌶、グルメドーム640個分のこの広い市場では
1日平均90万トンにして、
一兆円もの食材が取引されています。」
グルメリポーターの話を聞くと、すごいなぁと思った。
何だと!?もう一遍言ってみろ!
…?
「えぇえぇ何度でも言ってあげるわ!
このピスタチウオ、口が開いてる!!新鮮じゃない証拠!」
「この食材を放送しても視聴者を1グラムも感動させられない!」
「お、おいおい!」
確かにグルメリポーターの言うことがあってる。
「ティナ!!中継してんだぞ!!」
「…失礼いたしました。
以上大盛り上がりで活気づく市場からお送りいたしました」
「-で?どこまで話ったけか?」
「ニュースは情報の密度が大事なの!
重さが命!鮮度の落ちたピスタチウオの情報は
1グラムの重みもないっ!視聴者は満足にならないっ!
グルメTVグルメキャスターとしてティナの
放送コード的にはアウトですっ!!」
「こ、こいつはなぁ!
口が開いたときが食べごろなんだぁ!
たくぅ、だから素人はこまるぜぃ」
「あ、あのぅ、確かに食べごろですが」
「あぁ?」
「市場ではまだ口が開いていないほうが…
折角の風味が損なわれるので、
調理前に口が開くのがベストかと…」
「お前らぁ!店のモンにケチつけんのかぁ!」
「店の食材は0,1グラムも悪くないっ!
あんたにケチつけてんだってばぁ!!!」
「ンだとてめぇ!!」
「なによ!?」