第9章 ライバル、梟谷学園
(気を使われた……。)
そう思うと無性に悔しくなって、凪沙はぐっと拳を握りしめた。
「私、GWの宮城遠征までに、応急手当てもテーピングも完璧にしますので。」
そう宣言して、黒尾の目をまっすぐに見据えた。
「え、そんながんばんなくても大丈夫よ。今までだってみんな自分でやってたんだし。」
「いえ。このままじゃ私何のためにいるのか分かんないんで。
素人だから、女の子だから、って言われ続けるのは嫌なんです。
だから黒尾さんも、私に遠慮なんてしないでください。」
凪沙は言ってから、タオルとドリンクボトルを黒尾に渡した。
「なっちゃんて実は男前なんだね。」
「女子校育ちなんて案外こんなもんですよ。」
凪沙は胸を張って、勝気な笑顔を作った。
「なにこれ、ギャップ萌え?」
「衛輔ー、黒尾さんいつでも試合戻れるって!」
「なっちゃん!?さすがにそれははやいかな!!」
黒尾が慌てて両手で大きくバツを作って見せた。