第9章 ライバル、梟谷学園
「夜久さんの妹なんだって?」
赤葦がドリンクを飲みながら聞いてきた。
孤爪は横になって目を閉じている。眠っているようだ。
「うん。血はつながってないけど。」
「へー……。」
「やっぱり、変な感じするよね。いろいろ妙な噂も流されたりしたし。もう慣れたけど。」
凪沙が困ったように笑うと、赤葦はやはり表情を変えずに口を開く。
「え、うらやましいなって思ったけど。夜久さんみたいな兄貴、俺もほしい。あの人男の俺から見てもかっこいいし。」
「……。」
「あ、ごめん。なんか無神経なこと言ったかな。」
黙り込んだ凪沙に、赤葦が少し焦って謝る。
「ううん。そうだよね。私も衛輔のことはすごく頼りにしてる。
音駒に編入して毎日楽しいのはあいつのおかげだなって思う。」
嬉しそうに話す凪沙に、赤葦は小さく頷いた。
「休憩終わるまでここにいなよ。あんまり人こないはずだから。」
そう告げて、赤葦は立ち上がってどこかへ行ってしまった。