第7章 新生活
「おい、こらリエーフ!もうこんなことするんじゃねーぞ。」
「ごめんなさい。」
衛輔に再度怒られたリエーフがしゅんとして凪沙に謝る。
(男の子ってやっぱり野蛮だ……。)
凪沙はそう思いながらゆっくり立ち上がって、リエーフに向かって
「もういいよ。」
とだけ言った。
顔を上げたリエーフが、凪沙の顔を見て口を開いた。
「だってマネさん、女の子一人で心細そうだったから、俺が笑わせてあげようと思って。」
凪沙はびっくりして何も言えなくなった。
「だからって怪我させたら意味ねえだろうが!」
衛輔に背中をはたかれて、リエーフはもう一度弱々しく「ごめんなさい~」と謝った。
「でも俺がしっかりキャッチしたから大丈夫でしたし。」
犬岡の言葉に凪沙も頷く。
「うん。大丈夫だから。」
凪沙は、大きな体を小さくしている彼の姿がなんだかかわいく感じて、さっきまでの怒りも忘れた。
「でも、マネさん、まだ見学だから正式に入るか分からないんですよね。」
近くにいた芝山が思い出したように言うと
「え、そうなんですか!?やりましょうよ楽しいですよ。
マネさんいたほうがみんなもきっとやる気でますって。」
リエーフが大きな声で凪沙に詰め寄った。
「……凪沙。」
凪沙は小さな声でつぶやいた。
「え?なんですか?」
「凪沙って名前だから。夜久だと衛輔とややこしいし。
でもマネさんって呼び方かわいくないし。
マネージャーの名前くらいちゃんと覚えてよね。」
まっすぐにリエーフの目をみて、凪沙はそう言った。
「はい!凪沙さん!!」
リエーフは大きく頷いた。
「まじで、凪沙マネージャーやってくれんの?」
衛輔も驚きながらも喜んで声を出した。
様子を見ていた黒尾もニヤリと笑った。
「なに、クロまで嬉しそうにしてんの。」
孤爪が目ざとく指摘する。
「いやあ、楽しくなりそうだなーって思ってさ。」
「えー……。」