第7章 新生活
「どう?おもしろい?」
試合に見入っていた凪沙に、汗をふきながら声をかける。
「黒尾さんが衛輔のこと褒めてた。」
「はあ!?あいつまた何か恥ずかしいこと言ってねえだろうな!」
「あー、噂通り中二病っぽかったね。」
遠慮ない物言いに、衛輔は小さくため息をはいた。
「お前それ本人に言うなよ。さすがに気の毒だ。」
言わないよ、と凪沙は苦笑いしてから
「衛輔、正直に答えてほしいんだけど。」
コートから目を離さずに話し出した。
「え、なに?」
「素人で、2年の私がマネージャーして、役に立てるのかな。」
彼女の真剣な表情からその思いは、衛輔にも伝わった。
(軽々しく、大丈夫なんて言ってほしくはないんだろうな。)
そう思ったからこそ、彼は正直に答える。
「男嫌い直せたら問題ないな。」
「……やっぱりそれだよね。」
痛いところを突かれた凪沙は、肩を落とす。
「あと、やっぱりバレーのことは勉強してほしいな。
試合に出ることはなくても、作戦とか一緒に練れた方が楽しいし。」
「それは衛輔が教えてくれるから問題ないし。」
「おいおい、他力本願かよ。」
呆れた顔をしてみせるが、頼られるのは悪い気はしないようで、その口元は笑っている。