第7章 新生活
「はいはい。じゃあ凪沙ちゃんにバレーの面白さを分かってもらうためにも、
入ったばかりの1年たちの実力を見るためにも、紅白戦やるぞー。」
そうして凪沙は初めて目の前でバレーボールを見ることになった。
「気になることあったらなんでも聞いてね。」
黒尾は凪沙の隣に立って声をかけた。
「黒尾さんは、入んないんですか。」
「俺は外から様子見。1年の特徴とか早くつかみたいしな。」
「そうですか……。」
髪型に反して、案外真面目な人なのかもなあと、なかなか失礼なことを考えながら、コートに視線を移す。
体育の授業程度の知識しかない凪沙だが、彼らが上手だということはすぐに分かった。
その中で気になったことを口にする。
「衛輔って、すごいんですか。さっきからスパイク打たれて拾ってばっかり。
巧いんだろうけど、強いのか良くわからないです。」
「あいつはリベロだからなー。守備専門。
テレビとかで聞いたことくらいあるだろ。」
「あー。なんとなく。」
曖昧に頷く。
「夜久はうちにはなくてはならない存在だよ。
あいつがいなきゃ繋げない。みんなのレシーブ指導もあいつがやってる。」
「へー。」
感心した声を出す凪沙に、黒尾はニヤニヤと笑いかける。
「あとあの小柄な金髪いるだろ。あいつはうちのチームの背骨で脳で心臓なんだ。」
「え……。」
ドヤ顔をする黒尾に対して、何言ってんのこの人と凪沙は少し距離を取る。