第7章 新生活
校内で「夜久兄妹」の噂はあっという間に広まった。
衛輔自身も明るく友達が多いタイプだったため、それに突然現れた編入生の妹の存在は、皆の関心を集めた。
「二人とも小っちゃくてかわいいよねー。」
「でも血はつながってないんでしょ?」
「え、まじで。わけありってやつ?」
「あんなかわいい子が突然妹になったら毎日ドキドキしちゃうよな。」
「わかる。なんかちょっとやらしいよね。」
「いえてる。昔のドラマみたい。禁断の恋みたいな?」
興味本位での心無い噂は拡大していった。好奇の目を向けられていることは本人たちも気づいていた。
お昼休み、凪沙のお弁当にお箸が二膳入っていたので、
衛輔のクラスまで届けに来た時にもそれはひしひしと感じた。
「人のうわさも七十五日って言うだろ。すぐ飽きるって。」
衛輔はそう言って全く気にしていないようだった。
「分かってる。」
箸を渡して、凪沙はすぐに教室から出ようとする。
「夜久兄妹、仲良いなー。衛輔ーそんなかわいい妹いてムラムラとかしねえの?」
からかいとも冗談ともとれる言葉が投げられる。
そういう男子のノリに慣れていない凪沙は、表情を硬くした。