第2章 ファーストコンタクト
静かな廊下にでて、凪沙は一息つく。
大きな窓からは夜景が見えた。
(あ、キレイ)
季節柄空気が澄んでいるせいか、それは眩しいほどキラキラと輝いて彼女の沈んだ心にも光を灯す。
(ガラス冷たくて気持ちいい……。)
暖房で火照った頬を窓にぺたりと押し付ける。
そうして目を閉じていたら、背後から声をかけられた。
「何してんの?」
「わ!?」
凪沙は驚きのあまり声をあげる。
衛輔が不思議そうに凪沙を見つめる。
「あ、夜景?キレイだよな。そっちはあんまりこういうのない?」
「神奈川は……横浜とかならあるけど。私の住んでるところは、そんなに……ないかな。」
数歩後ずさりしながら凪沙は答える。
「そっか。あー、なんかこういうとこ緊張しねえ?
俺もう肩ガチガチ。普通に焼肉とか食べに行きたかったな。」
そう言って衛輔は腕をブンブンと回したり小さく飛び跳ねてみたりした。
ずっと座っているのがよほど苦痛だったらしい。
「あ、じゃあ、私トイレ行くから。」
凪沙はそう言い残して小走りでトイレに向かった。
「え、まだ行ってなかったのか?ていうか俺も行くし。」
衛輔は彼女のあとを追った。