第6章 ひらいて
「じゃあ二人は一緒に泳いできたのか。」
「うん。衛輔に勝つつもりだったけど、さすがに負けた。」
「そりゃあそうよ。男の子だもの。しかも衛輔君は運動神経よさそうだし。」
食事中、広子にそう言われ衛輔は曖昧に笑った。
(まさかギリギリで負けそうだったなんて言えねえ。)
そしてうっかり気を抜くと先ほどの凪沙の水着姿がフラッシュバックしてきそうになるので、
そのたびに衛輔はブンブンと頭を振って気を逸らせた。
「夕飯終わったら部屋でワインでも飲もうかと思ってるんだけど、
二人はどうする?ジュースでも買ってくる?」
広子の提案に、凪沙は少し考えてから口を開いた。
「私勉強したいからいい。」
「俺も。せっかくだから二人で飲んでなよ。」
「じゃあ私たちの部屋を勉強部屋にして、夜久さん達の部屋で少し飲んでましょうか。
勉強終わったら呼びに来て。」
そう言われて、二人は頷いた。