第6章 ひらいて
「うわー、結構本格的。」
飛び込みもできる深さの50メートルプールを目の前にして、
凪沙は歓声を上げた。
「しかも誰もいねえ。貸切じゃん。」
衛輔もテンションの上がった様子で準備運動をする。
「スク水だから恥ずかしいんだけど……。」
凪沙が口をとがらせて不満を漏らす。
「いいじゃん。高校生なんだから。俺だってスク水だし。」
凪沙は髪を結んでスイムキャップをかぶる。
「頭ちっちぇー。帽子脱げねえの?」
「うるさい。脱げない。」
凪沙が軽く睨む。
「あ、その言い方俺の後輩に似てる。」
「ああ、研磨って人?」
「そそ。興味あったら今度紹介してやるよ。」
「興味ない。」
凪沙はぷいっと顔をそむけて、ゴーグルを付け、飛び込み台に立った。
「おお……さすが水泳部。」
綺麗なフォームで水面に飛び込んでいった彼女を見て、衛輔は感心する。
ゆったりとした綺麗な泳ぎで、すいすい進んでいく。
「よーし、俺も!」
衛輔は彼女の隣のレーンに飛び込んだ。