第6章 ひらいて
部屋は隣同士で2部屋とった。夜久親子と、早川親子それぞれの泊まる部屋だ。
「ママ、夜久さんと二人で行きたいとこあったら行ってきていいよ。私勉強したいし。」
荷物を広げながら凪沙が気を遣う。
「6時にレストランで夕飯だから、そこで待ち合わせしようか。
勉強もいいけど、せっかくなんだから楽しんでよ。」
「うん。あとで衛輔と屋上行く約束した。」
「すっかり仲良しねー。ママも嬉しいわあ。じゃあ、ちょっと出てくるわね。」
そう言って広子は部屋を後にした。
(浮かれちゃって……大人は良いなあ。)
ふと窓の外を眺めると、目の前には真っ青な海が広がっていた。
見ていたらうずうずしてくるので、レースのカーテンを閉める。
「せめてテスト前じゃなければなあ……。」
凪沙はテーブルのライトをつけて、教科書を開いた。