第5章 ゼラニウム
「え、やだ。じゃあ凪沙ったら今夜久さんちにいるの?」
電話の向こうで広子の驚いた声が聞こえる。
ピザを待っている間に、衛輔の父が広子に電話をしたのだ。
「うん。昨日は勝手にそっちの家に衛輔がお邪魔したみたいでさ。なんかごめん……。」
「うちは構わないけど……。
でもあの凪沙が?ちょっとびっくりよー。」
「俺もおどろいた。しかもすごい仲良くなってて。
広子さんにも見せてあげたい。
二人でゲームしてるのかわいいよ。」
「じゃあまた今度4人でどこか行きましょうね。」
「そうだね。あ、夜ごはんピザにしちゃったけど、
凪沙ちゃんにそんな体に悪そうなもの食べさせて良かったかな……?」
「全然問題ないわよ。ていうかうちもファーストフードとか結構食べるし。
やめてよね、あの子のこと箱入り娘みたいに扱うの。」
「はは、そうか。よかったよ。もし迷惑じゃなければ、今夜はもう遅いし、凪沙ちゃんうちに泊まってもらおうかと思うけど、良いかな?」
「お願いするわ。そんなに手のかからない子だと思うけど、何かあったら連絡して。」
電話を切って、二人に近寄る。
「凪沙ちゃん、広子さんに連絡しといたから。今夜はうちに泊まって行って。」
「はーい。ママなんて?驚いてた?」
「うん大分ね。」
そう彼が告げると、凪沙は嬉しそうに笑った。
「ほら、二人ともゲームやめて片付けるの手伝ってくれよ。ピザ来ちゃうから。」