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【ハイキュー】ギフト

第13章 ずっと一緒


「おー。さすがミス音駒候補。」

学園祭も終盤になった頃、衛輔と黒尾が二人で凪沙たちのクラスに遊びに来た。

「この喫茶すごい評判だぞ。衣装がかわいい女子もレベル高いって。」

「ほんとう?やったー。」

「お世辞だよ。」

いつもの通りのやり取りに、凪沙は衛輔を軽くたたいた。

「研磨は?」

黒尾が教室を見渡して聞く。

「裏にいると思いますよ。」

「ちょっとからかってくるかー。」

黒尾は、凪沙が指差す、カーテンで仕切られた方に向かって行った。

「お前さー。ちゃらちゃらしすぎじゃね?その格好。」

残された衛輔は、改めて凪沙を見つめる。

「かわいいでしょ。」

スカートのすそをつまんで、くるりと回ってみせる。

「うるせーよ。」

「否定しないんだ。」

「だから、うるせえって。」

「犬岡たちはかわいいって言ってくれたよ。」

「あーそうかよ。」

「あ……!」

その時、飲み物を運んでいた凪沙のクラスメイトに、たまたま通りかかった小さな男の子がぶつかって行った。

「きゃ!」

お盆を持った彼女はびっくりして悲鳴を上げ、子供はバランスを崩して尻もちをついた。

「あぶない!」

咄嗟に動いたのは、凪沙だった。

「凪沙っ!」

ガシャーン!

突然の大きな音により、教室内は静まり返る。

「ふぇぇぇー……。」

転んだ子供が泣き出して、すぐに母親らしき女性が駆け寄ってくる。

子供の身体は、凪沙の下にあった。こぼれた飲み物から、守ったのだ。

「……だ、大丈夫?ごめんね、びっくりさせちゃって。」

素足にポット一杯分の熱湯を被った凪沙は、顔をしかめながら、男の子の頭を撫でる。

割れた食器の破片が床に散らばっているので、怪我をしないようにと母親の元へ渡す。

「凪沙、大丈夫か?」

うずくまっている凪沙に、衛輔が青ざめて声をかける。

飲み物を落とした女子が、涙目になってごめんねごめんねと謝り続けているが、凪沙は力なく笑うだけだ。

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