第13章 ずっと一緒
素早く着替えて、教室に戻る。みんな準備でバタバタと忙しなく動き回っている。
「あ、けんまけんま。」
隅で一人座っている孤爪を見つけて凪沙は声をかけた。
「うわ、何その格好……。」
凪沙をみて顔を引きつらせる。
「衣装だって。私には良いけど、他の子にそういう反応したらダメだよ。」
「分かってるよ……。」
女子を敵に回すと面倒だということくらい、孤爪は良くわかっている。凪沙に正直な反応をするのは、彼女に対して心を許している証拠でもあるのだ。
「何してんの。」
凪沙が、何やら作業をしている彼の手元を覗き込む。
「紅茶のはっぱを、一杯分ずつフィルターに詰めるんだって……。これくらいなら、俺にもできる……。」
「手伝っていい?」
凪沙が隣に座りこんで小さなスプーンに手を伸ばす。
「別に、いいけど……。」
二人で黙々とティーパック作りに精を出す。
「あ、ごめん。」
茶葉をすくうスプーンがひとつしかないため、タイミングが重なって手がぶつかってしまうが、そんなことにいちいち気にするような関係でもない。
部活で毎日ボールやタオルを手渡しているのだから手が触れるくらいどうってことない。