第13章 ずっと一緒
「じゃあ、凪沙ちゃんは喫茶出てもらって、後夜祭の1時間前になったらミス&ミスター音駒の方に行ってね。」
学園祭当日、実行委員の子から指示を受けて、凪沙は頷いた。
「そのウエイトレスの衣装、力作だから。それでミスコンも出てね。」
「え……これで?」
凪沙は改めて渡された衣装を見つめる。
「そうだよー。恥ずかしいのは嫌だからっていう凪沙ちゃんのリクエストで、控えめだけど華やかに、って衣装係みんなでがんばったんだから。」
確かに、生地の色は淡いイエローで、スカート丈もしっかり膝まである。腕は出るようだが肩はふんわりと軽いパフスリーブで、胸元の開きも小さめだった。
「かわいい……。」
思わず凪沙が呟くと
「でしょでしょ。美女と野獣のベルが好きだって言ってたから。そのイメージなの。」
一緒にいた服飾部の子が満足そうに言う。
確かに、このカラーはそれを連想させるものだった。
「喫茶の衣装は同じデザインで何色かあるけど、採寸したのは凪沙ちゃんだけだからね。」
「これで優勝まちがいなし!」
「うう……プレッシャー……。」
苦笑いする凪沙を、彼女たちははしゃいだテンションのまま更衣室に押し込んだ。
「着替えたら出て来てねー。まだまだ準備することあるから。」
その気合いの入れように、凪沙はもはや何も言葉が出なかった。