第12章 敗北のあと
敗戦の翌日。
「研磨、ちょっといい?」
音駒高校2年3組がざわついた。
一時期ほどの注目はなくなったものの、今もそれなりに有名人である凪沙が、普段クラスでは交流のない孤爪に声をかけたのだ。
「え……なに。」
自席に座っていた孤爪は眉間にしわを寄せる。
「いいから。」
有無を言わさない口調。
周囲からの視線も痛いし、孤爪としてはこのまま教室にとどまるのもいたたまれない。
仕方なく彼女に従うことにする。
「教室で話しかけないでって言ってるじゃん。」
廊下を歩きながら、孤爪は不満の声を投げる。
「だから教室から出たでしょ。」
「そう言うことじゃなくて……。」
ポケットに手を突っ込んで、ため息をついて凪沙の後をついて行く。
屋上へ続く人気のない階段で、馴染のある二人が待っていた。
「全員そろったな。」
手すりに寄りかかっていた山本の声に、階段に腰かけていた福永も顔を上げる。