第11章 再会
「おっす。」
二人がゲームにすっかり夢中になった頃、部屋のドアが開いて衛輔が顔を出した。
「おつかれー。なーちゃんは?」
「寝た寝た。やっぱ昨日あんまし寝てなかったみたい。ソファ占領しちゃってるけど勘弁な。」
ドアをパタンと閉めて、二人のそばに腰を下ろした。
「今日はありがと。」
「解決した?」
「ん。一応な……。」
そのはっきりしない口調に、黒尾と孤爪はゲームの手を止めて彼の方を向いた。
「ちょっと相談なんだけどさ……。」
「なになに、なーちゃんのこと。」
「うん。」
「凪沙は父親のことを恨んでる。
理由は言えないけど、それだけのことをされてるし、俺が凪沙の立場だったとしてもやっぱり許せないなと思う。
それを前提として聞いてほしいんだけど。」
衛輔がそう前置きをすると、二人は顔を見合わせてから頷いた。
「今日、俺が家に帰ったとき、あの男が家の前で待ってたんだ。
さすがに家に入れるわけにいかないから、近所の喫茶店に行ったわけ。
俺は凪沙の兄で、あんたたち親子に何があったのかも知っている。
凪沙はもうあなたと話すことは何もないと言っている。
だから、もう二度と来ないでください。って伝えたんだ。
そしたら、あの人、凪沙に謝りたいって言うんだ。
それで、凪沙は内向的な性格だし、気難しいところがあるからきっと新しい家族や環境に慣れるのも大変だ。
だから、父親の自分が凪沙を引き取るのが一番彼女のためになるって言うんだ。
その言葉にウソは感じられなくて、この人は本気で凪沙のことを心配してるんだなっていうのが伝わってきた。
それなのに俺……あの人にひどいこと言っちゃったと思う。」
「なんて言ったの。」
続きを促したのは孤爪だった。