第11章 再会
「ナギ、昨日あんま寝てないでしょ。朝練中あくびしてた。」
孤爪が指摘すると、凪沙は言葉に詰まって口に手を当てる。
「ストーカーがいると自分ちで安心して寝れないだろ。遠慮しないで寝に来いよ。何もしねえから。」
黒尾に再度説得されて、凪沙は困ったように衛輔の方を見る。
(あー、夜久が頼りってわけね。お兄ちゃん慕われてるねえ。)
黒尾はにやりと頬が緩むのを堪える。
「行って来いよ。明日学校休みだし。黒尾は凪沙に指一本触れないってさ。」
な、と衛輔に見上げられれば、黒尾は頷くしかない。
「指一本て、俺そんなに信用ない?」
「ないね。」
「クロは前科あるしね。」
容赦ない扱いに黒尾は項垂れて
「指一本、髪の毛一本触りません」
と誓いを立てた。
「……わかった。そうする。」
凪沙は小さな声で返事をした。