第11章 再会
朝練後、片付けを終えて体育館を出たところで凪沙は黒尾と孤爪と衛輔に声を掛けられた。
「なーちゃん、今夜は俺と一緒に研磨んちにお泊りね。」
「は、何言ってんですか嫌ですよ。」
凪沙は条件反射ともいえる速さで断ってから衛輔の方を見る。
黒尾はひるむことなく説明する。
「そう言わないでよ。避難だよ避難。研磨んちはなーちゃんたちの家と逆方向だし、安全だと思うよ。
研磨の両親、今日から結婚記念日の旅行に行ってて留守だし気にすることねえよ。」
なあ研磨、と黒尾にふられて、孤爪はまあ、うん……と歯切れ悪く頷く。
(昨日のこと、衛輔が話したんだな。おしゃべりなんだから……。)
凪沙が軽く眉間にしわを寄せる。
「俺も一緒に付き合ってやるし。心配しなくても大丈夫だって。」
「俺から言わせりゃ、黒尾自体が危険要素だけどな。」
衛輔が冷静につっこむ。
「……衛輔も行く?」
「俺はいかないよ。昨日も言った通り、俺はあの人と話をしなきゃいけないから。
もしかしたらまた今日どこかで待ち伏せてるかもしれないし、俺は普通に自分の家に帰るよ。」
当然だろ、と衛輔が言う。