第11章 再会
「凪沙?寝てんの?」
風呂から上がった衛輔が声をかけると、凪沙はのそのそとソファから起き上がった。
「寝てない。私もお風呂入ってくる。」
「おう。」
髪を拭きながらスマホをいじっている衛輔の背後に凪沙は近付いて
トン、と彼の背中に額を当てる。風呂上りの香りと、少し高い体温を感じながら口を開く。
「さっきはごめん。衛輔のこと信じるからみっつめがいい。
おじさんとママには何も言わないで。」
「……わかった。任せとけ。」
「ありがと。」
凪沙はそう耳元でささやいて、リビングから出て行った。
残された衛輔は赤くなった顔を両手で覆った。
(今のは反則だろ……。あんな近くて弱気な声出されたらアウトだって。)
彼女の触れていた背中が、熱を持っている気がする。
(抱きしめたいと思っちゃったじゃんか……。)