第11章 再会
(だから、それじゃ解決しねえだろっつってんだろうが。)
衛輔はイライラをなんとか堪えて、もう一度聞く。
「凪沙がそこまで拒絶する理由も気持ちも理解してるつもりだよ俺は。
だからムリして会う必要もないと思ってる。」
「……うるさい。知ったようなこと言わないで。」
「またそういう生意気な口を……」
呆れて天井を仰ぐ衛輔。
「おじさんも衛輔も、あの人と話したら気持ちがが変わるかもしれないじゃん。」
「は?」
「衛輔も、おじさんも、私の親はママしか知らないでしょ。
あの人のことを少しでも知ったら、私にあの人の血が流れてるんだとか、思うかもしんないじゃん。顔似てるし。
あと、私の話だと極悪人みたいの想像してるかもしれないけど、
あの人外面いいっていうか、そういうとこあるから、あれ、案外いい人じゃんってなったら、
あの人のこと毛嫌いしてる私に不信感とか……。」
「ふざけんな!!」
いつまでもいじいじと言葉を繋ぐ凪沙を遮って衛輔が声を上げた。
「これでももう半年以上一緒にいるんだけど。しかも一緒に住んで、いろんな話もして、
それなりに分かりあってるかなって俺は思ってたよ。
それなのに、今日突然現れた男に何か言われたら俺が凪沙のこと疑ったり態度変えたりするとでも思ってんのか。」
鼻息荒く、衛輔は怒鳴りつけた。
「お前がそういう考えなら、勝手にしろ。俺はもう知らないからな!」
そう捨て台詞を吐いて、衛輔は風呂に入ってしまった。
(衛輔のばか。短気。怒鳴るな。ばか……。)
凪沙は心の中で毒づいて、そのままソファで横になった。
(疲れた……。)