第11章 再会
少し考えてから、衛輔が再び話し始める。
「凪沙、いいか、このままじゃだめだろ。選択肢は三つだ。どれか選べ。」
凪沙が顔を上げると、衛輔は目の前にかがんで目線を合わせた。
「ひとつめ、出張中の親父に今すぐ連絡する。大人に何とかしてもらうんだ。
きっと、家から出るなとか、警察に相談だとかなると思うけど、一番安全かなと思う。」
凪沙は目を逸らして自分の手元に視線を落とした。衛輔は気にせずに言葉を続ける。
「ふたつめ、凪沙が直接あの人と話す。あの人が何の目的で凪沙に会いに来たのか分からないけど、もう会わないにしろ、その意思を自分で伝えるんだ。
それで二度と来ないって約束させるんだ。」
やはり凪沙は何も言わないが、コップを持つ手にキュッと力を込めて僅かに首を横に振った。
「じゃあみっつめ、俺がなんとかする。俺が凪沙のかわりにあの人と話をして、もう来ないでくださいって頼む。」
それでも凪沙は黙っていた。
「このどれかだ。俺はどれでもいいよ。凪沙が選べ。」
「私は……もうあの人と関わりたくないけど、衛輔やおじさんにも関わってほしくない……。」
ソファの上で膝を抱える凪沙。