第11章 再会
高校生が補導されるギリギリの時間まで粘ってから、二人は帰路に着いた。
(こんなに遅くなったら余計目立って危険か?)
果たして自分の判断が正しかったのか、衛輔は悩んだが、今更どうしようもない。
ファミレスでごはんを食べて、課題をしている間に少しずつ元気を取り戻してきた凪沙だったが、
やはり暗い外に出ると不安になるらしく、心配そうに周りを見まわしている。
「大丈夫だよ。俺がついてるし。ほら、早く帰ろう。」
必要以上に肩の力が入っている彼女の手を引いてやる。
(こんな時だからな。手つなぐくらい、いいよな……。)
下心なんてない、と自分に言い聞かせて、衛輔は駅へ向かった。
電車から降りて、駅から家まで向かう途中、衛輔は背後におかしな気配を感じていた。
(つけられてる……気がする。)
確信したのは駅前の雑踏から離れて住宅街に入ってからだ。
「衛輔……。」
同じく背後の気配に気づいたらしい凪沙が怯えた声を漏らす。
振り向こうとした彼女の頭を、衛輔は手を乗せて制した。
「いいから。このまま。しばらくまっすぐ歩くぞ。」
凪沙は小さく頷く。
「そこの角曲がったら、ダッシュするからな。」
二人は街灯の灯る角を折れて、全力で走り出した。