第11章 再会
「凪沙、おい!待てって!」
衛輔は走り続ける凪沙に追いついて、その肩を掴む。
二人とも肩で息をしながら、立ち止まった。
「凪沙、あの人、本当に……?」
衛輔が恐る恐る声を出すが、凪沙は俯いたまま何も答えなかった。
(本当なんだな……。まあ、確かに似てたし。)
先ほどの男のことを思い出す。
凪沙本人が気にしていた通り、顔や雰囲気は良く似ていた。
それよりももっと驚いたのは、凪沙の混乱ぶりだ。
「大丈夫か?」
顔を覗き込むが、ふいっと顔を逸らされてしまった。
衛輔がどうしたものかと考えていたら、ポケットの中でスマホが鳴った。
「研磨だ。おい、凪沙、研磨だぞ。出るか?」
普段から仲のいいクラスメイトの名前を出してみるが、凪沙は何の反応もしなかった。
仕方なく自分で電話に出る。
「もしもし。」
「あ、夜久さん、いまどこ?」
「結構学校の方まで戻ってきちまった。セブンのあたり。
……そっちどうなった?」
最後は声を潜めて衛輔は向こうの様子をきいた。
「あの人はもう行ったよ。でも、また来るみたいなことは言ってた。」
「そうか。ありがとな。俺たち念のためにもう少し時間つぶしてから帰るから、お前ら先に帰ってて。」
「分かった。ねえ、ナギ大丈夫そう?」
「まだ少し動揺してるけど、大丈夫だよ。代わる?」
「ううん。いい。また明日ねって言っといて。」
そこで電話は切られた。
「凪沙、サイゼ寄ってこ。そこで夕飯たべつつ、時間つぶそう。」
衛輔が声をかけると、凪沙は黙って頷いた。