第11章 再会
「え、ちょっと待ってよ。俺、あの子の実の父親だよ。だからそこどいてくれないかな。」
男が凪沙たちを追おうとするが、黒尾が立ちふさがる。
「うちの大事なお姫様に何の御用ですか。お父さん。」
「クロ恥ずかしいこと言うのやめて。」
孤爪は黒尾に注意するが、その視線は男のことを睨んでいる。
体格のいい黒尾と金髪の研磨、
はたから見たらお世辞にもガラが良いとは言えない二人の高校生ににらまれて、男は一歩下がった。
「分かったよ。今日は諦める。もう通ってる高校まで分かってるからいつでも会いにこれるし。」
やれやれと立ち去って行く男の背中に、黒尾は声をかける。
「凪沙と何があったのかは知りませんけど、あの子はもう新しい生活でうまくやってますよ。
あんたの出る幕じゃあないんじゃないすか。」
男は振り返らなかった。
「父親って本当かな……。」
孤爪がスマホを取り出して衛輔に連絡を取ろうとする。
「あの人の顔、なーちゃんと似てたし、多分本当だろうな。
でもあいつの動揺は普通じゃなかったし、ワケありそうだけど。」
「あ、夜久さん?いまどこ?」
電話がつながって、孤爪は衛輔と話し始めた。