第10章 宮城遠征
「いひゃいいひゃい!」
そんな二人の様子に烏野の三人はぽかんとする。
「仲いいんだねー夜久くんとマネちゃん。」
菅原がそう言うと、衛輔ははっとしてその手を離す。
「あ、こいつと俺兄妹だから。凪沙、ほら、挨拶!どうせしてないんだろ。」
衛輔に背中を押されて、凪沙は一歩前に出される。
「音駒2年の夜久凪沙です。今日はよろしくお願いします。」
「こいつ、マネはじめたばっかりだから、何か迷惑かけたらすいません。
俺に言ってもらえれば注意しとくんで。」
衛輔がそう付け加える。
「いやいや。うちも元気のよすぎるのが多いからお騒がせしたら申し訳ない。
仲良し兄妹かー。ほほえましいなあ。こちらこそよろしく。」
菅原が笑顔で応対した。
烏野の4人と別れてから、凪沙の抱えていた荷物の半分を衛輔が持って体育館へ向かう。
「さっきの人、優しくて爽やかだった。お兄ちゃんってかんじ。」
凪沙が呟く。
「スガ君だろ?良い人だよなー。ていうか悪かったな。
爽やかでもないし優しくもないし口うるさい俺が兄で。」
ムッとした衛輔が言い返す。
「え、ごめんごめんそういう意味じゃないよ。
衛輔は衛輔ですごく良いお兄ちゃんだよ。」
「そーですか。」
フォローするが、すっかり機嫌を損ねたらしい。