第10章 宮城遠征
翌朝、朝食の時間になってもなかなか全員そろわなかった。
「黒尾と研磨はまだ寝てるのか……まったく、二人そろって朝弱いんだよな。」
海がいつも通り穏やかな口調で言うので、あんまり危機感はないが、さすがにそろそろ起きてもらわないと予定が狂いかねない。
「私、起こしてきます。」
見かねた凪沙が申し出る。
「起こすなら黒尾からにしろ。研磨よりは起きやすいはずだから。」
海からアドバイスされて、凪沙は頷く。
(またあいつは……寝起きの黒尾なんてどう考えてもセクハラフラグ……。)
衛輔は歯を磨きながら凪沙の方をちらりと見る。
昨夜ケンカしたままなので、声はかけにくいのだ。
彼女は海と何か会話を交わしてから、二人の寝ている部屋に向かって行った。
(一度痛い目に合わなきゃわかんねんだ。勝手にしろ。)
衛輔は歯を磨く手に力を込めた。