第10章 宮城遠征
「いやあ、快勝快勝!この調子で遠征全勝したいっすね!!」
夜の合宿所で、布団を敷きながら山本が声を上げる。
「ただ勝つだけじゃ意味ないんだからな。きちんと反省点と今後に生きる研究をだな……。」
海が言い聞かせるが、テンションの上がった山本は聞いていない。
「うおーい、研磨!こんなとこまで来てゲームかよ。
せっかくなんだから猥談でもして盛り上がろうぜー!」
「トラうるさい。」
「ていうか童貞の山本には猥談とかむりだろ。さっさと寝ろ。」
げんなりとする孤爪の横から黒尾が辛辣な指摘をする。
「お前ら、凪沙が戻ってきてもそのテンションだったら殺すからな。」
「さすが、非童貞のリア充やっくんは余裕の落ち着き……」
「うるせえぞ黒尾いい加減にしろ!」
そう怒鳴って、衛輔が近くに転がっていた枕を黒尾に投げつけた。
「いてっ!このやろ!!身長の割にちん○大きいからって自慢しやがって!!」
黒尾が避けながら別の枕を衛輔に投げつける。
「え、そうなんですか夜久さんってち○こおっきいんですか!
風呂の時タオル取らないから俺てっきり身長と同じでちいさ……いてえ!」
話に割り込んできた山本は衛輔に尻蹴りを食らってうずくまる。
「黒尾余計なこと言うな!山本も声がでかいんだよ黙れ!」
二人に負けず劣らずの大声を上げて衛輔が注意する。
(あー、うるさい。めんどくさい……。)
孤爪は巻き込まれないうちに逃げようと、部屋の出口に向かう。
さっきまでいたはずの海は一足先に脱出したらしく、その姿はなかった。
(海さん意外と逃げ足速いんだよなあ。)