第10章 宮城遠征
衛輔がお風呂から上がってリビングに来ると、テレビをつけっぱなしにしてソファで寝ている凪沙の姿があった。
(また、こんな無防備な……。)
髪をタオルで拭きながら近づいてソファを蹴る。
「おい、こんなとこで寝んな。風邪ひくぞ。」
「んー……。」
蹴られた振動で凪沙は返事はするが、全く起きる様子はない。
衛輔は傍にしゃがんで、まじまじと彼女の顔を見入る。
(改めて見るとやっぱり普通に美少女なんだよなー。見慣れたから今更感動することもないけど。)
それに触れたくなる衝動を抑えて、衛輔はもう一度凪沙に声をかける。
「ほら、寝るなら部屋行けって。」
「……うーん。」
「起きないとちゅーするぞ。」
耳元でそうささやくと、凪沙はくすぐったかったのか、小さく笑った。
「またまた……衛輔はそういうことしないって分かってるからね。」
至近距離の彼女は目をうっすらと開けて、安心しきった表情をする。
衛輔は信用されている嬉しさと、少しの寂しさが混ざって胸が苦しくなった。