第10章 宮城遠征
まとめ役のはずの黒尾がふざけはじめたので、海が仕方なく仕切る。
「まあそういうわけだから、凪沙は遠征組のつもりだけど、都合
悪かったら無理しなくていいよ。どうする?」
「え?」
凪沙はその意味が分からず聞き返す。
「泊まる場所もみんなで雑魚寝になると思うから、女子一人で抵抗あるようだったら無理はさせられないなと思って。」
黒尾は補足的に説明する。
「まあ、何かしでかそうとする奴がいれば、俺が締め上げるけどな。」
衛輔がバキバキと手の関節を鳴らせば、他の部員の顔が引きつる。
「私も行きたい。昔のライバル校との試合なんて、ちょっとおもしろそうだし。」
凪沙がそう答えると、了解、と頷く部員たちの中でリエーフだけは肩を落としてがっかりしていた。