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【HP】月下美人

第5章 慕情


 セブルスに心の内を見透かされたあの日から、キラの魔法はめきめき上達した。
 彼が考えた通り、キラにとっては無言呪文の方が成功しやすかった。
 しかし、無言呪文は高学年になってからしか授業では扱わないので、キラは無言で呪文を唱えてから、後付けで呪文を言うようになった。
 セブルスは中々に厳しい先生であったが、教え方が上手く、キラは着実に一歩一歩自分が成長できていることを実感した。
 というのも、一度ダモクレスに魔法薬学についての質問をしたところ、細かく教えてくれはするものの、細かすぎ、かつオマケの知識が多すぎ、最終的には脱線してしまうのでダメだったのだ。


 セブルスはセブルスで、キラの熱心な態度に、徐々に頑なな態度を崩していった。
 キラに教えて、そしてそれが成功すると得も言われぬ達成感が彼を覆った。
 それに、キラは自身が魔法を使う様子をとても期待に満ちた瞳で見る。
 それがひどく心地よかった。

 
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