第26章 第二部 謀策
「そうですね、クソですね」
「利用しやすいってのは確かだけどね。DungBrains!」
「dung…?」
「愚か者ってことだよ」
「ああ…なるほど…関わりたくない程度にはそうですね」
ギルデロイにわざわざ自分から関わりに行かなくてはならないなんて、最低最悪である。
「目的のためだから…頑張ろうか」
「わかってますよ…わかってますけどね」
百味ビーンズで外れを引いたかのごとき顔のキラを労わるようにピースは彼女の肩を抱いた。
(本当に最悪。いや、確かにあれこれ作戦を考える必要はないんだけど…)
罰則を受けに行く彼の隣で無言で歩く。
それだけで彼は何の疑いもなくキラに話しかけるだろう。
「見て、スネイプ教授とマクゴナガル教授だ」
キラキラの文字を杖を振って消しているのはマクゴナガル教授で、スネイプ教授が物凄い顔をして何か話している。
きっとものすごく細かく、ねちねちとした嫌味とごく当たり前の正論とが混ざりあった説教だ。
ギルデロイ・ロックハートはこれまでも数回ホグワーツの生徒を巻き込んで問題を起こしては罰則を受けているのだが、全く懲りていないらしい。
(ドMなの?)
付きまといと言われるような行為は今でこそないが、3年前…つまりセブルス・スネイプが卒業して図書館に一人でいた初めの頃は酷かった。
辛辣な言葉を吐いたつもりでも根拠のないポジティブさでことごとく空振り、中々離れてくれなかったことが思い出される。
その頃は図書館はもちろん寮の前で待ち伏せされたり、食堂でキャリー達と一緒にいるにも関わらず隣に座って来たり。
(あれ? そういえば最近そんなに見かけないかも)
やっと距離ができたのに今度はこちらから歩みよらないといけないとは。
そんなことを考えていたら、突然トントン、と眉間をつつかれた。
「怖い顔してる。とりあえず、彼のことは置いとこう? もうすぐ試合だし…ルールのおさらいしない?」
そばかすのある頬を緩ませてピースが席につこうと促す。