第15章 ナイトメア・ビフォア・クリスマス
「覚えててくれたんだ…」
半年以上も前のことを。
温室で調合をするために鍋などの器具と一緒に、彼らは皮製の道具入れを持ってきた。
その中に、同じ匙とピンセット、小型ナイフが入っていた。
いつか欲しいと思っていたもの。
もっと大きくなったら買ってもらおうと憧れていたそれ。
「綺麗…」
キラリと光るナイフの刃に、キラはほぅ…とため息を漏らした。
(ちょっとキラが危ない人に見えるわ)
(そうだね…)
親友二人がひそひそと話すのも構わず、キラは匙とピンセットもそれぞれ手にとってじっくりと眺めている。
(後は、自分が必要だと思う形のピンセットと、お気に入りの匙を見つければ…)
ふふふふふ、と上機嫌に笑う。
尊敬する二人にぐっと近づいた気がして嬉しくなる。
「ねぇ! 次の魔法薬学の授業っていつだっけ?」
「え、あ、明日よ」
「明日かぁ…待ち遠しいなぁ」
キラは道具入れをぎゅっと抱きしめた。
「これで仲直りできるわね」
「あ……うん…」
仲直り。
キャリーのその言葉にキラは表情を曇らせた。
「話しかけても大丈夫かな…?」
「大丈夫よ。ありがとうって言えたら、きっともういつも通りよ。でなきゃ、あの人だってわざわざプレゼント用意したりしないわ」
「そう、かな」
「そうだよ…」
アニーのふんわりした笑顔に、「もう一回、頑張ってみるね」とキラは小さな笑みを返した。