第13章 二つ目の年
「キラ! 久しぶりね!!」
「元気だった…?」
「もちろん!」
ホグワーツ特急でキャリーとアニーを見つけたキラは、早速ハグでコンパートメントに迎え入れてもらった。
結局、曾祖母であるスカーレットに拒否されて、ブルームの屋敷に足を踏み入れることはできなかった。
しかし、日本からイギリスへの道中を両親と三人で過ごすことができたのはキラにとってとても喜ばしいことで、キャリー達のようにバカンスに行ったわけではないけれど、同じくらい浮かれていた。
一週間ほどはダイアゴン横丁にある漏れ鍋という宿に一人で泊まったのだが、夕食時になると両親がやって来て毎日一緒にご飯を食べることができた。
普段はあまり美味しいと感じないイギリス料理がとても美味しいと思えるほどに楽しい時間だったが、その一週間は本当にあっという間に過ぎてしまった。
仕事があるから、とホグワーツ特急へ乗り込むキラの見送りに来て貰えなかったのは残念だったが、ここ数年の中でもっとも充実した日々だったと言っても過言ではないだろう。
両親に会ったこと、そして母がブルーム家当主であったことを二人に話したい気持ちは山々であったが、大人の事情というもので、秘密にして欲しいと言われてしまった。
確かに、ルシウスのような人間に知られるのは良くないのだろう…とキラは仕方なく口をつぐんだのだった。
ホグワーツ特急の中では、キャリーとアニー…というより、主にキャリーの思い出話に花が咲いた。
二人からのお土産はスリザリン寮で広げることにして、車内販売で買った大鍋ケーキを三人でつつきあった。
「それで、キラはずーっとそのトリカブトっていう草について調べてたの?」
「うん。後は英語の勉強くらいかな?」
「せっかくのバカンスだって言うのに、机に噛り付いてたっていうの?!」
「その割りには結構日焼けしてるように見えるけど…」
アニーの言う通り、キラはこんがり日焼けしていた。
「おじいちゃんのお手伝いで、外に出てることが多かったから…あ、海に行ったよ」
「本当? 良かったわ、どこにも行ってない、なんてことがあったら、あなたのおばあ様に抗議文を送るところよ」