第12章 夏の始まり
「…夏休みは短くなるけど、一緒にイギリスに戻ってお屋敷にステイさせて貰える様お願いしてみてもいいけれど…」
大丈夫かしら、と言いたげな祖母にキラはため息をついた。
「…さすがにもう泣き叫んだりしないよ。友達の家にも居たし…。私、もう13歳だよ?」
気持ち悪いし、あんまり近寄りたくないけど、と思いながらキラはセシリーを見る。
さすがにもう魔法を暴走させることはない…だろう。
セブルスのローブの中に隠れた上、彼にしがみついて怖がっていたのは去年のことだ。
「そうよね…そう言ってる間に、14歳になるものね」
それでもスカーレットがキラの来訪を拒むのであれば、ダイアゴン横丁に宿を取れば良いか、とセシリーは早速手紙を書くため、羊皮紙を文机の引き出しから引っ張り出した。
これまでとは全く違う夏休みを過ごせそうな予感に、キラの心は舞い上がる。
両親が帰って来るまでにホグワーツの宿題とダモクレスからの依頼の調べ物を終わらせなくてはならない。
キラのバカンスがようやく始まった。