第9章 プロポーズ秘話
桜の蕾がなり始めた頃の3月。
「火神君。今日で卒業だね」
「そうだな…」
火神君とは3年間同じクラスだった。
部活も一緒だから1日の半分は一緒にいたのかな?
「赤司の所は卒業式終わったのか?」
「どうなんだろう…最近、連絡取れないからな」
征くんは洛山高校を卒業したら東京の大学に行くから戻ってくるとは聞いたけど、最近は音信不通。
どうしてるのかな?
征くんの事を考えていると卒業式は始まり、あっと言う間に終わってしまった。
HRも終わり友達と話しながら校舎を出た。
ザワザワ…
校門の辺りでは人が集まっていて、騒がしい。
「なんだあれ?」
火神の背丈でも人混みの原因は解らなかったらしい。
「美奈子ちゃん!!大変だよ、来て」
「ちょっと!!なに!?どうしたの?」
「あ!!オイ」
友達に手を引っ張られながら人混みをかき分け進んでいった。
人混みの間からは赤い髪がチラリと覗かせた。
ここにいるばずのない彼の姿が見えたのだ。
「征くん…」
「美奈子…卒業おめでとう」
「せ、征くんも…卒業おめでとう。卒業式は?」
「洛山は昨日だったんだ」
知らなかったな…
「でも、どうして征くんがここにいるの?」
卒業式なんて教えてないのに。
バサッ…
征くんは背中に隠していたカラフルな花束を差し出した。