第6章 お祭り(高校時代)
「征くん…おまたせ」
「じゃあ行こうか」
「うん」
今日は、征くんとのデート。
学校が違うし、遠距離恋愛だからめったに会えないから、こうして一緒にいることがとても嬉しい。
I・Hが終わってまだ征くんが東京にいる間に丁度お祭りがあると聞き、来ていた。
「ねぇ、征くん…」
「似合ってるよ。浴衣」
「なんで、分かったの?まだ言ってないのに」
「美奈子はさっきから僕と自分の浴衣を交互に見ていたからね」
征くんはいつも私が言いたいことが分かってしまう。
そんなに私って分かりやすいのかな?
今度リコさんたちに聞いてみよ。
「征くんは浴衣着てこなかったの?」
「ああ、今日は人が多すぎて動くには少し不便でね…まあ他にも理由はあるけど…」
最後の方は周りの声によりかきけされ聞き取れなかった。
「あ!!りんご飴!!こっちはチョコバナナ!!向こうは…」
「美奈子…来たばかりなのに甘いものばかり買うのか?後から花火もあるから計画的に進まないと…」
「ご…ごめんねー。なんかお祭りって普段食べないもの売ってるからつい」
「相変わらず美奈子は好きだね、甘いもの」
「好きだよーとっても!!それに私虫歯なんて出来たことないんだからね!!」
私は自慢気に言ったが、征くんも虫歯になったことないのであまり言っても意味は無かった。